ひさじいのフルヒ探訪記

最近気になっているフルヒについての情報です。

フルヒ飼育法

フルヒの飼育について

 フルヒとフルヒモドキについては、自然環境下での生存個体数が十分明らかになっていませんが、その捕獲の困難性や希少性、宗教的および愛玩的な目的による採集圧から、多くの種の絶滅が危惧されています。

 

そのため、「消滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引における条約(ジャカルタ条約)」や「消滅のおそれのある野生動植物の種子の保存に関する法律(種子の保存法)」などの種々の法により,世界的に捕獲や商取引が厳しく取り締まられています。よって、私たちがフルヒを入手して飼育することは難しい現状です。

 

しかし、学術目的などの場合には関係省庁の許可を得ることで捕獲や飼育が認められることがあり、我が国でも一部の研究者の方が実際にフルヒを飼育しています。また、未記載の種に関しては、上記の法律は当てはまりませんので、飼育も可能になります。筆者は、数種のフルヒを2013年から7年ほど飼育されている大学の先生に、フルヒの飼育に関してお話を伺う機会がありました。教えていただいた内容は、フルヒの未知の生態にも繋がると思われる貴重な情報です。是非広く知っていただきたく、先生の許可を得ましたので紹介いたします。教えていただいたことをそのまま紹介したつもりですが、間違いなどは私。舌古にすべて責任があります。

 

 

飼育環境

 入手したフルヒを飼育する容器は、虫かごが便利です。食品用のタッパーなども使用することができます。ただし、タッパーは密閉度が高い製品が多いですので、呼吸ができるよう、蓋などに穴を開けておくことを忘れないようにしてください。ほとんど動くことはありませんので、飼育容器は小さなものでも大丈夫です。お弁当箱程度の大きさがあれば理想的です。

 

生息地ではフルヒは水辺で見つかることが多いとされていますが、飼育では乾燥した環境で問題ありません。ひっくり返った時に起き上がりやすいように、新聞紙を細かく切ったものを敷き詰めます。新聞紙は排泄物などで汚れた場合には取り替えてください.ただし、目に見える形で排泄物を出すことはほとんどありませんので、実質的には取り替えは不要です。

 

 

餌について

 餌は、植物の葉などの食物繊維を食べるという説デンプンなどの糖質を食べるという説がありますがはっきりとしていません。いずれの種類も非常に少食であることは間違いなく、摂食している様子を観察できることは滅多にありません。ダイオウグソクムシなどは、5年間絶食する個体もいるようですが、フルヒも同じ程度かそれ以上の長期間、絶食をする可能性があります。1年に1度ほどの頻度で、稲わらやクッキーなどを少し、飼育容器に入れると良いでしょう。筆者は手づくりの棒状のクッキーを焼いて与えていますが、この7年間、食べてくれた様子はありません。水もほとんど飲まないようなので、給水装置などは不要です。

 

 

フルヒの正確な寿命はわかっていません。数十年から100年ほどは生きるのではないかと推測されています。それゆえ、飼育をはじめる場合には、最後まで責任を持って飼育するか、採集地のその場所に放虫してあげることが必要です。

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